古宇利島YOSHIKA



辺野古の勇者のエッセー

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神の手

私は現在入院中でリハビリを受けている。リハビリの中に作業療法というものがある。私の担当の作業療法士は、新山君である。新山君は牧師のような顔をした、新米の療法士である。

気高い理想を持っていそうな顔をしているので、私は彼に、「あなたの理念は?」と聞こうとした。すると彼は、「病人を手で触れただけで治すという話を信じますか?私もそれを目指して頑張ります。」それを聞いて、志の高い人だと思った。病人に手を触て直すとは神の手みたいだなと思った。新米の療法士の理想はほほえましい。私はつい、「私の体を使って、君の技術を磨きなさい。何でもやってくれ。」と言った。

しかし、予想以上に彼のリハビリは痛かった。彼は涼しげな笑顔でやっているが、私の顔は痛みでゆがむのが分かった。それでも耐えていたら、彼はますます力を入れた。ついに私は悲鳴を上げた。これ以上痛みが続くのはつらいと思い、先輩の療法士に彼を指導するように頼みに行った。それから彼も次第にうまくなり、痛みも少しづつ良くなっていった。

ある日、腰が痛くなった。新山 君にそう話すと、優しく腰をさすってくれた。彼の手は柔らかで、温かく、とても気持ちが良かった。不思議なことに痛みが和らぎ、私は気持ちよく寝入ってしまった。うとうとしながら、これが神の手かも知れないと思った。すると彼はいきなり私の手に強い圧力を加え、私は「アガヒャー」と叫んで目が覚めてしまった。私が眠ってしまってはリハビリができないので、起こそうとしたのだった。彼はいたずらっぽく笑っていた。

私の手はまだ十分動かないが、来月退院することになっている。彼の手が神の手になったときにまた彼を訪れてみよう。そのときはきっと治してくれることを願って。



※文章中に出てくる個人名は、仮名に置き換えてあります。

アガヒャー
沖縄の方言で、「痛ぇぇっ"!!!!!」のことらしいです。「アガヒャー」で検索するとたくさんでてきます。

手で触れただけで治す
聖書の中で、キリストがらい病人や、盲目の患者に手を触れて患者を治す場面は有名でとても感動的ですね。「あなたの信仰があなたを救ったのだ」ってカッコイイですね!久しぶりに聖書読んでみようかなw
でも、それって、経験や努力で到達できるモノなのですか?(-_-;)





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