古宇利島YOSHIKA



辺野古の勇者のエッセー

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カゼとともに去りぬ

七月七日 梅雨の中休みなのか、今日は爽やかな天気ですがすがしいものである。スタッフの皆様から、○○さんお早う○○さんお早う、響きのよい挨拶である。私はいつもの指定席に座った。

きゃしゃで絹の糸が加わったみたいに不思議な魅力を持ったベテランナースの庭田さんが、はいと体温計を渡してくれた。その間に飲み物を持ってきてくれた。太郎さんブラックコーヒーのホットでしたネ。細やかな気配りが出来る物静かで艶めかしい女性である。ベテランナースともなると施設利用者の皆様の飲み物の趣向などは自然に彼女の頭にはインプットされるのであろう。実にスムーズな流れで阿吽の呼吸のようである。

体温計がピッピッっと鳴った。見ないで彼女にそのまま渡した。調子が悪い時、彼女がそっと手でふれる時などは脈拍などは正常値に戻るものだ。今日の計測結果を彼女に訪ねた。意味ありげに体温37度、脈拍90、血圧180と彼女は言った。本当かね?私は疑問をもった?太郎さんリハビリを行って、倒れるか倒れないかは、貴方の体力次第なのヨ?「頭が真白になった」そうか今日はあまり無理しない方がいいとの暗示かも知れない。自分で納得する。動作は激しく動かしてはいけないのだ。

席で今日はおとなしくして置こうと思った時、片桐主任が私の向かいの席に連れ共にそっと現れた。向かい側に二名座っているので計三名の相席となった。朝早くから片桐主任などは一度も見たことがなかった。今日は何か有りそうだ。その瞬間先程迄の爽やかな空気が急に風になりテーブルの上に置かれたチラシが三〜四枚吹きとばされた。

案の上片桐主任の連れからゴホンその隣の方もゴホン又、その隣の方もゴホンゴホンの三連発である。私はすぐに片桐主任にクレームである。ティッシュを与えればいいのにと、彼、ごめん、ごめん、間に合わなかったのだ。一人分でも大変なのに三名分のクシャミが来るとは・・・きっと私の口できっと私の口でウイルスが交ざるかも知れない。片桐主任がきた時、チラシが舞い上がったのは激しい風(カゼ)になったのだ。その張本人は、平然としている。只者では無い。血液型もO型であろう。何事にも動じない図太い神経の持ち主なのだ。次から彼が2m以内に近ずいた時に備えてピッピッピッとなるキカイを持たねばならぬ。

彼は何ごともなかった様に、静かにカゼ(風)とともに去っていった。

「世間は新型インフルエンザと騒いでいる。私も対応策を考えなければ、帰途の車中で(カゼとともにのこと)、事務長に話をしたら大笑いである。」「他人事だからナ」でも真剣に対応策を考えねばならぬ。新型インフルエンザの可能性もある。でもその薬の免疫力のある薬はまだ開発されてないそうだ。

私の浅はかな素人考えで2〜3日前眼科に行った薬があった。3名分ゴホンというセキだから、口の中で交ざわり悪性のウイルスになるまで時間がかかるだろう。そうだ薬を口の中に3名分の3滴をたらしウイルスを目まいさせ、セキでハキ出せばよいのである。

七月七日片桐主任との長い一日であった。



※文章中に出てくる個人名は、仮名に置き換えてあります。


目薬
目薬(めぐすり)は、「点眼薬」です。服用はやめましょう(-_-;)





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